動名詞とは?:動詞のing形「~すること」
動詞を<~ing>の形にすると、名詞として使えるようになります。不定詞<to+動詞の原形>の名詞用法と同じです(受験で覚えなくてはいけない違いはこの後説明します)。ちなみに進行形で出てくる<~ing>の形は分詞といって、意味も「~している」となり、ここで扱う動名詞とは異なるものです(詳しくは<分詞>の項目で説明します)。
play tennis | 「テニスをする」 |
playing tennis ≒to play tennis | 「テニスをすること」 |
watch TV | 「テレビをみる」 |
watching TV ≒to watch TV | 「テレビをみること」 |
動名詞を置ける箇所
動名詞<~ing>は名詞の働きをします。つまり、文の中で名詞を置ける場所にそのままおけることになります。
・名詞をおける場所=主語・目的語・補語・前置詞の後
【主語】 This book is interesting. | |
Playing tennis is interesting. (テニスをすることは面白い) | This bookと同じように<~ing>も主語のところにおける |
【目的語】 I like this book. | |
I like playing tennis. (私はテニスをすることが好きだ) | this bookと同じように<~ing>もlikeの後における |
【補語】 This is a book. | |
My hobby is playing tennis. (私の趣味はテニスをすることだ) | this bookと同じように<~ing>もbe動詞の後における |
【前置詞の後】 I am interested in this book. | |
I am interested in playing tennis. (私はテニスをすることに興味がある) | this bookと同じように<~ing>も前置詞の後における |
動名詞<~ing>と不定詞名詞的用法<to+動詞の原形>の違い
【動名詞】
I like playing tennis.
【不定詞】
I like to play tennis.
これらはどちらも正しい文であり、意味も同じです。このようにlikeの後(目的語)には<to+動詞の原形>も<~ing>もどちらも続けることができます。しかし、<to+動詞の原形>か<~ing>のどちらか一方しか続けることができない動詞もありますので、区別して覚える必要があります。
不定詞<to+動詞の原形>と動名詞<~ing>のニュアンスの違い
<to+動詞の原形> 未来的 ・一回の動作・プラス
<~ing> 過去的 ・繰り返す動作・マイナス・回避的
不定詞<to+動詞の原形>は「これからする」という未来的なニュアンスです。不定詞の「不定」は「定まってない」という意味であり、「定まってない」のは未来のことですね。それに対して動名詞<~ing>は過去的なニュアンスになります。
不定詞<to+動詞の原形>を続ける動詞
[例]
I want to play tennis.
「私はテニスがしたい」
[ダメな例]
I want playing tennis.
例えば、wantという動詞は、動名詞<~ing>ではなく、不定詞<to+動詞の原形>が続きます。理由を説明すると次のようになります。「テニスがしたい」ということは「まだテニスはしていない」、つまり「これからテニスをする」ということになり、未来的なニュアンスになります。そこで、未来的なニュアンスである不定詞<to+動詞の原形>をセットにすることになります。このようにwant、hope、wishなどの<願望>を表す動詞は<未来的なニュアンス>になるので、相性のよい不定詞<to+動詞の原形>といっしょに使うことになります。別のタイプも見てみましょう。
[例]
I decided to play tennis.
「私はテニスをすることに決めた」
[ダメな例]
I decided playing tennis.
こちらも同様に、「テニスをすることに決めた」ということは「決めた」だけで、「まだテニスはしていない」つまり「これからテニスをする」という状態です。さっきのwantと同じく、「テニスをする」のは将来的なことなので、<未来のニュアンス>を表す不定詞<to+動詞の原形>の形にします。このようにdecideなどの<決心>を表す動詞を使う場合も<未来的なニュアンス>になるので、相性のよい不定詞<to+動詞の原形>といっしょに使うことになります。
~<~ing>ではなく<to+動詞の原形>を続けなければならない動詞~
※すべて「これからする」という未来的なニュアンスになる!!
【願望系】「~したい」
・want to+動詞の原形
・hope to+動詞の原形
・would like to+動詞の原形
・wish to+動詞の原形
【決心系】「~することに決める」
・decide to+動詞の原形
【意図系】「~するつもりだ」
・mean to+動詞の原形
・expect to+動詞の原形
動名詞<~ing>を続ける動詞
動名詞<~ing>は過去的なニュアンスでした。
[例]
I finished reading this book.
「私はこの本を読み終えた」
[ダメな例]
I finished to read this book.
「読み終えた」ということは「今はもう読んでいない」ので、「この本を読む」という動作は過去の出来事ということになります。なので、readは<過去のニュアンス>を持つ<~ing>の形になっています。別の説明もしてみます。
[例]
I practice playing tennis.
「私はテニスをする練習をする」
[ダメな例]
I practice to play tennis.
動名詞<~ing>には<過去的ニュアンス>とともに<繰り返す動作>というニュアンスがあります。上の例文において「テニスを練習する」ということは「繰り返しplayする」ということになりますね。このようにpractice「~を練習する」とセットになることで、playは<繰り返す動作>ということになるので相性のよい<~ing>の形にします。最後にもう一例いきましょう。
[例]
I avoided answering questions.
「私は質問に答えることを避けた」
[ダメな例]
I avoided to answer questions.
動名詞には<回避的><マイナス>なニュアンスもあります。上の例文では「質問に答えること」を<回避>しているので、answeringという<回避的><マイナス>なニュアンスを持つ<~ing>形が使われている。
~ <to+動詞の原形>ではなく<~ing>を続けなればならない動詞~
〇 enjoy ~ing「~することを楽しむ」
I enjoy listening to music. |
「私は音楽を聴くことを楽しむ」 ※楽しいから繰り返して聴くイメージ |
〇 finish ~ing「~し終える」
I finished reading this book. |
「私はこの本を読み終えた」 ※「読んだ」は過去の動作ということになる |
〇 give up ~ing「~することをやめる」
I gave up smoking. |
「私はタバコを吸うことをやめた」 ※過去に繰り返し吸ってきたタバコをやめた |
〇 practice ~ing「~することを練習する」
She practices playing tennis. |
「彼女はテニスをすることを練習する」 ※繰り返しテニスをするイメージ |
〇 stop ~ing「~することをやめる」
I stopped smoking. |
「私はタバコを吸うのをやめた」 |
〇 mind ~ing「~することを嫌がる」
I don’t mind explaining that again. |
「私はそれをもう一度説明してもいいですよ(説明するのを嫌がらない)」 |
〇 avoid ~ing「~することを避ける」
He avoided doing sports. |
「彼はスポーツをすることを避けた」 ※「スポーツすることを避けた」=「スポーツをしない」という回避的、 マイナスなニュアンス。 |
〇 escape ~ing「~することを逃れる」
He escaped fighting. |
「彼女は戦いを逃れた(戦わずにすんだ)」 |
どちらを続けるかによって意味が変わる動詞
<to+動詞の原形>と<~ing>の両方を続けることができますが、どちらの形にするかによって意味が異なるタイプがあり、ここではそれらをまとめます。
<to+動詞の原形>が「~する」、<~ing>が「~した」という意味になるタイプ
・remember to+動詞の原形「~することを覚えている/忘れずに~する」
・remember ~ing「~したことを覚えている」
Please remember to go to the library. | 「図書館に行くことを覚えておいてください/忘れずに図書館に行ってください」 |
I remembered going to the country. | 「私はその国に行ったことを覚えている」 |
・forget to+動詞の原形「~することを忘れる」
・forget ~ing「~したことを忘れる」
I forgot to go to the library. | 「私は図書館に行くことを忘れた」 |
I’ll never forget going to the country. | 「私は決してその国に行ったことを忘れない」 |
その他のタイプ
・try to+動詞の原形「~しようとする(~することを試みる)」(実際にしたかは不明)
・try ~ing「~してみる」(実際にする)
I tried to open the door. | 「私はドアを開けようとした(実際開いたかは不明)」 |
I tried opening the door. | 「私はドアを開けてみた(実際に開けた)」 |
↑日本語からは「実際にしたかどうか」のニュアンスは汲み取りづらいので覚えてしまう
・stop to+動詞の原形「~するために立ち止まる(この<to+動詞の原形>は副詞用法)」
・stop ~ing「~することをやめる」
I stopped to drink some coffee. | 「私はコーヒーを飲むために立ち止まった」 |
I stopped drinking some coffee. | 「私はコーヒーを飲むことをやめた」 |
どちらも続けることができて意味も変わらない動詞
〇 like to+動詞の原形 = like ~ing「~することが好きだ」
I like to listen to music.= I like listening to music. |
「私は音楽を聴くことが好きだ」 |
〇 begin to+動詞の原形 = begin ~ing「~し始める」
It began to rain.= It began raining. |
「雨が降り始めた」 |
〇 start to+動詞の原形 = start ~ing「~し始める」
She started to cry.=She started crying. |
「彼女は泣き始めた」 |
動名詞を使った慣用表現
〇 on+<~ing>「~するとすぐに」
On arriving in Tokyo, I called my father. |
「東京に到着するとすぐに、私は父に電話した」 |
〇 in+<~ing>「~するときに」
In reading this book, I remembered my mother. |
「この本を読んでいる時に、私は母を思い出した」 |
〇 by+<~ing>「~することによって」
You can get a lot of information by reading this book. |
「この本を読むことで、あなたは多くの情報を得ることができる」 |
〇 without+<~ing>「~することなく」
He left the room without saying anything. |
「彼は何も言うことなく部屋を出た」 |
〇 be動詞+used+to+<~ing>「~することに慣れている」
They are used to driving in Japan. |
「彼らは日本で運転することに慣れている」 |
〇 get used to+<~ing>「~することに慣れる」
Tom got used to living in Japan. |
「トムは日本に住むことに慣れた」 |
〇 look forward to+<~ing>「~することを楽しみにする」
She is looking forward to seeing you again. |
「彼女はあなたにもう一度会うことを楽しみにしている」 |
〇 What do you say to+<~ing>?「~してはどうですか?」
What do you say to eating lunch together? |
「いっしょにランチを食べるのはどうですか?」 |
〇 How about+<~ing>?「~してはどうですか?」
How about going to the movie? |
「映画に行くのはどうですか?」 |
〇 What about+<~ing>?「~してはどうですか?」
What about playing tennis? |
「テニスをしませんか?」 |
動名詞の意味上の主語
不定詞の意味上の主語は<for A to+動詞の原形>という形で表しました。ここでは動名詞の意味上の主語の表し方を学習します。意味上の主語とは<~ing>部分に対して「~が」にあたる言葉です。
〇 <所有格か目的格+~ing>「…が~すること」
上記のように、<~ing>の前に、名詞を<所有格か目的格>にしておくと、それが意味上の主語(「~が」にあたることば)になります。
I don’t like smoking in the room. | 「私は部屋でたばこを吸うことが好きではない」 |
↓意味上の主語を<~ing>の前に<所有格か目的格>にしておく | |
I don’t like his smoking in the room. | 「私は彼が部屋でたばこを吸うことが好きではない」 |
I don’t like his smoking. ≒ I don’t like him smoking. | 「私は彼がタバコを吸うことが好きではない」 |
I am proud of Tom’s being kind. ≒ I am proud of Tom being kind. | 「私はトムが親切であることを誇りに思っている」 |
※Tomなどの名詞の目的格はそのままの形になる
動名詞の否定
不定詞の否定形は<not+to+動詞の原形>でした。動名詞もnotを前に置いて<not+~ing>とすると否定形なります。
〇 <not+~ing>「~しないこと」
I insisted on his not smoking here. | 私は彼がここでタバコを吸わないことを主張した |
※insist on~「~を主張する」