〇 リスニング学習の前提となる能力(=発音の知識・語彙力・読解力)
〇 リスニングが上達するとはどういうことか
〇 リスニング力向上のための具体的な方法(=シャドーイング)
リスニング学習に必要な前提の能力
文字を見れば容易に理解することができる語彙力、文法力、構造把握力
リスニング学習を効率よく進めるためには、最低限の語彙力・文法力・構造把握力が必要です。
リスニング学習中に聞き取れなかった箇所は、文字を見て確認すると思います。その際に、分からない単語が多すぎたり、文字ベースでも文章の意味が理解できなければ、反復して聞き込む前の学習にかなりの時間をとられることになります。
そこも含めて継続できる場合は問題ありません。しかし、手間がかかりすぎて継続できるか怪しい場合は、まずは単語帳と文法書で最低限の基礎知識を身に着けて、リスニング学習を本格的に進めるべきです。
教材選びの観点で言うと、リスニングに用いる教材は、文字ベースではある程度容易に読みこなせる素材を選ぶべきです。
発音の知識
リスニング学習を本格的に始める前に、発音の知識を学んでおく必要があります。
発音の知識とは、文字ごとにどういう口の形でどういう音を出せばいいのかと、単語と単語がつながって音が変わるルールを知っておくということです。
英語には日本語にない音があったり、単語と単語がつなげて発音され、別の1つの単語のように聞こえたりします。
例えばgive it himは「ギブイットヒム」ではなく「ギヴイッティム」のように発音されます。こういったものはそもそも知っておかないと反応できません。
そこで、発音強化のための教材を以下に紹介させていただきます。
タイトル:DVD&CDでマスター 英語の発音が正しくなる本(ナツメ社)
タイトル:英語耳(KADOKAWA)
リスニング学習の心構え
音の認識と意味の認識は別
リスニング学習において意識していただきたいこと1つ目は、音の認識と意味の認識は分けて考え、どちらもできるようにならなければならないということです。
音の認識とは、例えば<I have a pen.>という文が聞こえたときに、「アイハヴァペン」と言ったと、音が聞こえるということです。
そして、その聞き取った音から、<I>「私は」、<have>「持っている」、<a pen>「ペンを」というように、意味を認識することになります。
ありがちなのが、「音は聞こえるけど、意味が瞬時に分からず、意味を考えているうちに音声が先に進んでしまいついていけなくなる」という状況です。
これは、意味の認識が瞬時にできていない(日本語で理解しようとしてしまっている)ことが原因です。
これを克服するには、日本語と同じレベルで瞬時に脳が理解できるようになるまで、そのフレーズを繰り返し聞く(場合によっては発音する)必要があります。
例えば、<I am happy.>くらいの文だと、日本語を挟まずに意味が理解できると思います。これは、英語学習を始めて<I am happy.>という文に繰り返し触れてきたからにすぎません。
つまり、同じセリフを、意味を考えながら何度も聞くことで、日本語を介さずに意味を瞬時に理解できるようになっていきます。
リスニング学習で意識すべきことは、<意味を考えがら音を聞き、音がクリアに聞き取れて、かつ、意味が瞬時に浮かぶようになるまで反復す>ということです。
脳が処理できる音のコレクションを増やしていく
一度、脳が処理できるようになった音は、次に出てきたときにも反応できる可能性が格段に上がります。
リスニング学習で、初めに聞いたときは聞き取れなかった音も、スクリプト(文字)を見ながら音と意味を瞬時に理解できるようになるまで聞き込みます。
一度瞬時に理解できるようになった音は、次に出てきたときもある程度容易に聞き取ることができるようになっています。
これを繰り返すと、初めて聞く文章でも認識できる割合が増えていきます。
このように、リスニングの学習は「脳が反応してくれる音のコレクションを増やしていく」、その結果「初めて聞く文章でも理解できる割合が増えていく」というものです。
リスニング学習は、自転車の乗り方のように一度できるようになったら終わりというものではありません。聞きとれない英語がなくなるまでしらみつぶしに英語を聞いていく、というのが学習のスタンスです。
例えば、先のgive it him「ギブイッティム」が聞き取れるようになったからといって、それ以外の英語も自動的に聞き取りやすくなるかというとそうではありません。
発音の基礎を学んだあとは、資格試験を目指す場合は問題集、そうでない場合やyoutubeやNetflixなどでいろいろな英語を聞き続ける、という意識が必要です。
英語を英語で理解する
英語を英語で理解する意識も必要です。
例えばいちいち日本語で考えながら聞いていく場合、「今の英語は日本語にすると…」と考えているうちに音声が先に進み、結局はついていけなくなってしまいます。そこで、英語を英語で理解するという意識が必要になります。
例えばI am happy.くらいの文であれば、「私は幸せだ」という日本語にしなくても、意味が理解できるのではないでしょうか?これはI am happy.というフレーズを何度も聞いたことがあるからに他なりません。何度も繰り返し聞く英語は、<英語→日本語→理解>の<日本語>の部分を飛ばして、いっきに<理解>までワープすることができるようになります。
対策としては、普段使用するリスニング問題集でシャドーイングを反復します。音声がついていないリーディング問題などは、英語を英語で理解することを意識しながら、何度も読み込むという復習が非常に有効です。
特にシャドーイングを繰り返していくと、見たことあるフレーズが増える、つまりその場でわざわざ日本語に変換せずとも理解できる英語が増えていき、結果としてリスニング力の上達や読むスピードが上昇が見込めます。
参考)リーディング学習の心構え
① リスニング対策に用いる教材は、文字ベースでは理解が比較的容易なものが望ましい(基本的には各自が目指す資格試験の問題集)。
② 発音の知識も一通り学習しておく。
③ 同じフレーズに繰り返し触れることで、その音と意味を瞬時に理解できるようになる。瞬時に理解できるフレーズを増やしていくことが、リスニング力(リーディング力)を伸ばすということ。
④ 具体的な方法は、問題集の復習においてシャドーイングを続けるのみ。