・リーディング学習を進める上で意識しておきたいこと
リーディング学習の前提となる能力
語彙力+文法力
語彙力と文法力が乏しい状態でリーディングの学習を進めても、調べなければならない単語や文法知識が多すぎて効率が悪くなります。
語彙力と文法力がある程度まで固まるまでは、問題集を解くというリーディング学習の比重は軽めにするべきです。
構造把握力
構文把握力は、どの語が主語で、どの語が動詞なのかなど、意味以前にその英文の構造を把握する力です。英語は日本語と異なり語順(文の形)で意味が決まります。
参考)英語の語順
ですので、リーディングの問題を本格的に解き始めるまでに、英文の構造を把握する力はつけておく必要があります。
構造把握の力が乏しい場合は、以下の問題集が王道です。
自分に合うものどれか1冊にだけ取り組みます。基本的にTOEICや英検などの資格試験においてはどれを選んでも必要十分です。
【基本】
大学受験スーパーゼミ 徹底攻略 超入門英文解釈の技術60(桐原書店)
【標準】
入門英文解釈の技術70 (大学受験スーパーゼミ徹底攻略)(桐原書店)
【やりごたえのある英文を求める人向け】
大学受験のための英文熟考 上下(旺文社)
足りないのは英語力か日本語力かを見極める
できない原因が英語力なのか、日本語を含めた言語力なのかは区別して考える必要があります。なぜならば、それぞれに対する対処法が異なるからです。
分からない単語が多い、あるいは英文の構造が分からないといった理由で英文が読めない場合、まずは語彙力、文法力、構造把握力を高める方に重点を置くべきです。
一方、単語や文法事項、英文の構造が分かって、その通りに直訳できる場合、英語力に問題はないと言えます。その場合は、日本語力も含めた「言語力」を鍛えていく必要があります。
例えば、現代文の試験をイメージしてみてください。日本語なのに理解に苦しむものをありますよね?英語の文章も、訳はできるけれどもそもそも言っていることが分からない、和訳見ても理解ができないといったケースは多々あります。
日本語を含めた言語力の対策はどうする?
言語力も含めた、総合的な読解力を上げるためには、取り組んでいる英語の文章を本だと考えて、たくさんの文章に触れることが必要です。
言語力はやはり読書量に比例します。日本語も、文章を読むほどに理解できる日本語や背景知識が増えていきます。英語も同様に、読めば読むほどに英語力だけでなく、日本語を含めた『文章を理解する力』がついていきます。
リーディング学習の心構え
以上を踏まえて、リーディングの学習の心構えです。
① 問題を解いた後、分からない語句や文法事項、和訳を確認する。
② 英文だけで読み込む。
①終わる人が多くいますが、②が重要です。②のために問題集に取り組むとも言えます。
②について、分からない箇所を失くした後、英文だけで何度も読み込みます。5回から、多くて30回が目安です。
一日に何回も繰り返すのではなく、一日一回を5日かけて合計5回読むというように、数日かけて読み込んでいきます。文章が簡単であれば少なく、難しければその分回数を増やします。内容を覚えてしまうくらいになったら、定着したと考えて読み込みは切り上げます。
読み込むべき文章が多すぎる場合は、文章の中の難しい段落に絞って読み込むなどします。分からなかった部分を繰り返し読み、感覚として自分の中に落とし込むことが重要なので、簡単すぎる部分の読み込みはしない、もしくは少なめにします。
音声が付いている場合はシャドーイングが望ましいです。例えばTOEICであれば、リーディングセクションの英文にも音声がついている場合が多かったりします。音声がついていない場合は、音読もしくは黙読で読み込みます。
読み込みのメリット
語彙が増える
その文章で使われている語句やフレーズを繰り返し読み込む中で自然と覚えることができます。
背景知識が増える
リーディング学習は本を読んでいるのと同じなので、日本語の本を読むのと同じように知識が増えていきます。
その文章で述べられる内容になじみがなくても、それを理解して読み込むことで、別の文章で同じような内容がでてきたときに対処しやすくなります。
読む量が増えるほどに、そもそも知っていると感じる内容が出てくる可能性が上がっていきます。
英語の構造が感覚として身に付く
読み込みを続けていくと、英語の文の形にパターンに慣れていき、「この形の次はこんな形になりそうだ」という先を予測する感覚が身に付いてきます。
英語の文構造のパターンは無限ではないので、繰り返し読み込むことで、もともと知っているパターンに当てはめて考えることができるようになっていきます。
英語を英語で理解できるようになっていく
読み込む際に、英語を英語の語順のまま理解する意識をしていけば、日本語を介することなくダイレクトに理解できる箇所が増えていきます。
やればやるほどに「見たことある感じがする」といった英語の割合が増えていき、読みやすさが増していきます。それが、英語が読めるようになるという現象です。
英語学習は筋トレやマラソンと同じ
英語は筋トレやマラソンのように地道なトレーニングを繰り返すことで、徐々に徐々に深く速く読むことができるようになっていきます。
一度乗り方や吹き方を覚えたら、あとは一生使いこなすことができる自転車の乗り方や口笛の吹き方とは全く異なります。
できる限り途切れさせることなく、少しずつ継続していくことで、徐々にですが確実に英語力は上がっていきます。
読むスピードを上げるには?
英語を読むスピードを上げたいという相談がよくきます。
結論を申し上げれば、シャドーイングをはじめとしたトレーニングを続けることで、読むスピードは勝手に上がっていきます。
英語はマラソンと同じです。自分の能力を超えた速度で走ったとしても、一時的にはスピードは出ますが、最後まで走り切れずにリタイアになるはずです。ギリギリゴールまで走り切ることができるスピードで継続的に訓練していく中で、自然とタイムが上がっているのがマラソンです。
英語を読むスピードの上昇も、全く同じ原理です。例えば、むやみに速く読もうとしても、「今なんて書いてあったっけ?」となり、もう一度同じ個所に戻って読んだりする羽目になります。
マラソンと同じように、自分が理解できる範囲でスピードを最大まで上げた上で、シャドーイングや読み込みの訓練を続けていく。それを継続していくことが、遠回りのようで、最速にして王道の方法です。
① リーディングの基礎は、語彙力、文法力、構造把握力。
② リーディング問題集に取り組む際は、和訳を確認して終わりではない。5回~30回を目安に、英語だけで読み込む。
③ 読み込みの際は英語を英語で理解することを意識して読む。音声が付いている場合は必ずシャドーイングをする。
④ スピードを上げるための直接的なトレーニングはない。シャドーイングや読み込みを地道に継続していくことが一番の近道。