・スピーキング学習をする上で意識しておきたいこと
『しゃべれるようになる』=『知っているフレーズを状況に応じて瞬時に出せるようになる』
『すぐに言えるフレーズ』のストックを増やしていって、『状況や相手の発言に応じて適切なフレーズを瞬発的に口から出せるようになる』というのが『英語がしゃべれるようになる』という状況です。
当たり前ですが、全く知らない言語、例えば中国語やロシア語で『お腹が痛い』と言おうとしても不可能です。
なぜ日本語では『お腹に痛みを感じている状態』を人に伝えるときに「お腹が痛い」というフレーズを瞬時に出せるかを考えてみます。
それは、そもそも『お腹に痛みを感じている状態』を表す日本語は「お腹が痛い」であること知っていて、それを瞬発的に正しい発音で発言できるからです。
その場で「主語は『お腹』にして、述語は『痛い』だな」などと考えているわけではありません。
子供のときから「お腹が痛い」というフレーズは何度も聞いて何度も発話してきて脳に定着しきっているため、言いたいときにすぐに取り出せるのです。
英語の場合も同様に、『お腹に痛みを感じている状態』を表す英語は『I have a stomachache.』であること知っていて、さらにそれを『お腹に痛みを感じている状態』の時に瞬発的に正しい発音で発言できれば、『英語を話すことができた』となります。
まとめると、スピーキング訓練のゴールとして、①『言いたいことが英語で瞬時に出てくるよう、フレーズを何度も発音して体で覚え込む』、②『状況に応じて覚え込んだフレーズを出す訓練をする』の2つを意識しておきます。
①については、先に述べた『瞬間英作文』『シャドーイング』をひたすらに続けます。
例えば、テニスのラケットを振る際のフォームを考えると、最初は頭で角度などを考えながら素振りをしますが、何回も繰り返し素振りをしていくと、無意識に正しいフォームで触れるようになります。英語も同様に、瞬発力を求められるスピーキングや会話の場合、その場で文法事項などを思い出している時間はないので、何度も同じフレーズや文章をシャドーイングして、瞬発的に口が動くようにしていきます。
②については、英語が話せる人と話す機会を作るのが最も効果的です。
スポーツで言う練習試合のようなものです。試合では、個別で訓練したパス練習やシュートの練習を、臨機応変な対応が必要になる試合でも同じように出せるかが問われます。
英語も同様に、実際の会話の中で、普段訓練して覚え込んでいるフレーズを臨機応変に出せるかを試します。
スピーキング学習の基礎となる発音の知識
スピーキングとリスニング学習においては、発音の知識は不可欠です。
『自分で言える音は聞き取ることができる』というのが重要な考え方ですが、適当な発音でスピーキング練習をするよりは、ある程度発音の知識を頭に入れた上で進める方が吸収率は上がります。
発音の知識は主に『1つ1つの音の出し方』と『単語と単語がつながって別の音になる(リンキング)』という2種類に分けることができます。
1つ1つの音の知識
1つ目は、アルファベットや英単語レベルで『どんな音(口の形)』になるかという知識です。
英語には日本語にない音、つまり普段まったく聞き慣れていない音が含まれています。
例えば、日本語では『ア』という発音は1つですが、英語では『æ(アとエの中間の音)』『ɔ(アとオの中間の音)』『ʌ(日本語のアに近い音)』という区別があったりします。
まずは、アルファベットや英単語レベルで、どのような口の形でどのような音を出すのかを知った上でスピーキングの練習をする方が、はるかに学習効率が上がります。
単語と単語のつながり(リンキング)
文の中で単語と単語がくっついて(リンクして)、別の音に変わる現象があります。
例えば、『get out of here』は『ゲットアウトオブヒア』ではなく『ゲラウロブヒア』というように発音されます。
他にも、『give it him』は『ギブイットヒム』ではなく『ギヴィティム』と聞こえます。
このように、単語ごとの個別の発音を知っていても文の中では違った音に変わりますので、事前にある程度のつながり(リンキング)のルールを知っておくことも、学習効率が上がる要因になります。
おすすめのスピーキング訓練法
スピーキング学習法のおすすめは、①シャドーイング、②瞬間英作文、③オンライン英会話です。
スピーキング訓練法①:シャドーイング
シャドーイングは英語の音声に少し遅れてスピーキングをしていきます。
詳しくは以下のページをご覧ください。
スピーキングができるようになりたい音声やフレーズをシャドーイングで反復することで自分の中に英語が染みついていきます。
スピーキング訓練法②:瞬間英作文
思いついた日本語(言いたいこと)を瞬時に英語に変換する訓練です。
ライティングであれば、思いついた日本語を、時間をかけて文法的に考えて英文に変換する、ということもできます。
しかし、スピーキングや英会話は瞬時に言いたいことが言えないと会話が成り立ちません。
そこで、そういった瞬発力を鍛えために、『思い浮かんだ日本語or言いたいこと』を瞬時に英語に変換する訓練をしていきます。
具体的には、短めの日本語を英語に変換します。この時、最初は「英単語なんだっけ?」「文法どうなんだっけ?」と少し時間がかかっても構いません。
同じ日本語を英語に何回か変換する中で、瞬時にその英語が発言できるようになるまで繰り返します。
普段使っている日本語で「今の日本語は英語で言うとどうなるんだっけ?」と、英語に変換する癖をつけます。
しかし、学習を始めたばかりだと自分が作った英語が正しいかの判断ができない場合もあります。
その場合は、以下のような瞬間英作文に特化した参考書やフレーズ集を使うのもひとつです。
スピーキング訓練法③:実際に話す機会を作る
実際に話す機会、すなわちアウトプットの機会を意識することで、インプットの効率が上がります。
一般的な方法は以下です。
①英語で話せる友達やパートナーを作る
②オンライン英会話
③留学
①は、そもそも周りに外国の人がいないであったりと運の要素が、③は費用や期間の問題が絡みます。
お手軽なのが②のオンライン英会話を活用することです。
事前に話したいトピックに関する英語を準備しておいて、相手とその話題について話します。
レッスン終了後に、言いたくても出てこなかった英語はどういうべきかを調べて、覚えていきます。
① シャドーイング訓練を中心に反復してフレーズを覚え込む
② 覚え込んだフレーズが状況に応じて出てくるように話す機会を作る